集中力は可視化すると向上する!バイオフィードバックと集中力の関係

集中力は可視化すると向上する!バイオフィードバックと集中力の関係

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集中力を上げるためには、大きく能動的な方法受動的な方法があるといえます。

前者は意識的に集中力を高める方法、後者は香りや音などの外部環境の刺激によって集中力の向上を促す方法です。

どちらも重要ですが、どのような場面においても発揮できる集中力は前者の能動的な方法によって身につけられます。

こうした集中力を高める能動的な手法の一つとしてバイオフィードバックという手法の活用が提案されています。1)渡部真, 宍戸道明 「視覚と聴覚のバイオフィードバックにおける集中力向上効果の比較検討」 科学・技術研究 第5巻1号 2016年

この記事では、バイオフィードバック手法の集中力の向上への応用について、論文をもとに解説します。

バイオフィードバックについて

まずバイオフィードバックとは何か、具体的にどのように応用されているのかについて説明します。

バイオフィードバックとは?

バイオフィードバックのイメージ
バイオフィードバックとは、脳波や筋肉の動きなど、普段活動する上で意識上に上がってこない情報を工学的な手法によって活動主体の人に提示することによって意識できるようにし、こうした活動を意識的に制御できるようにする手法です(参考:日本バイオフィードバック協会「バイオフィードバックとは?」)。

バイオフィードバックはしばしばBFと略されます。

定義だけだと少し分かりにくいので具体的な応用例を見ていきましょう。

バイオフィードバックの具体的な応用例

バイオフィードバックの例のイメージ

バイオフィードバックの手法は医療スポーツなど多分野ですでに応用がなされており、一定の効果があることが示されています。

ここでは排泄障害(失禁など)がある人へのバイオフィードバック手法を紹介します2)http://www.carenavi.jp/jissen/ben_care/control/control03.html「排便コントロールのアプローチ 骨盤底筋訓練とバイオフィードバック療法」 排泄ケアナビ

排尿や排便には「骨盤底筋」と呼ばれる筋肉が関係しています。

これらの筋肉を鍛えることで、排泄障害への効果が期待できます。

このトレーニングの上で、肛門に圧力計をおき、圧力の変化をモニターに映すことにより、自分の力の入れ方と圧力の変化が可視化できます。この可視化によって、モニターなど使わない時よりも骨盤底筋の使い方がより認識できるようになるそうです。

このように筋肉(骨盤底筋)の動きの情報を、工学的にフィードバック(圧力を測定しモニター上に表示)することで意識的に制御(排便を筋肉を使って抑える)できるようにするのがバイオフィードバックです。

障害の改善に大きく寄与するものではないそうですが、投薬に伴う副作用のリスクなどがないため初期の治療として行われているようです。

バイオフィードバック手法が生まれた経緯

バイオフィードバックが生まれた経緯のイメージ

このようなバイオフィードバック手法はどのようにいつ生まれてきたのでしょうか?

バイオフィードバックは「学習」の一環です。

バイオフィードバック手法が開発される以前は学習は主に以下の二つがあるとされていました3)廣田昭久 BF講座【心理学系】バイオフィードバック両方のための基礎知識 バイオフィードバック研究 43巻第1号 2016年

  1. 古典的条件付け
  2. オペラント条件づけ

前者は「パブロフの犬」で知られる、条件刺激(ベルが鳴る)が与えられると、条件反応(唾液が出る)が起こるという学習です。学習というよりも刺激に伴って起こる受動的な反応(レスポンデント反応)で、レスポンデント条件付けとも呼ばれます。刺激がなければ何も起こらないのが特徴です。

後者は、実験用ラットがバーを押したら餌を与えるというように反応・行動に応じてフィードバックを与えると、徐々にバーを押す行動が学習されていくというような自発的な反応を指します。前者の古典的条件付けと違い、行動がなければ学習が起こらない、刺激により自発頻度が変化するのが特徴です。

従来、生体反応に基づく受動的な学習は古典的条件付け、能動的な学習はオペラント条件づけというように学習の法則は2項対立で捉えられてきました。

つまり、不随意の活動(意識できない筋肉や脳波などの動き)と随意の活動(体を意識的に動かすなど)は領域が分けられていたわけです。これらの区分に対する挑戦としてバイオフィードバックの手法が誕生していきます。

1960年代以降、実験により不随意の活動の中にはオペラント条件づけで学習できるものがあることがわかりました。
(脳波を計測し、特定の波長が出た時にベルを鳴らすことを繰り返すと、脳波を被験者が制御できるようになった。)

こうした現象が見られる中で、理論的な裏付けの研究が進められていくことになります。

研究の中で行われる実験手法として発達してきたのが他ならぬバイオフィードバックです。

つまりこうした研究の副産物として方法論だけが分離したものがバイオフィードバック手法ということですね。

バイオフィードバックの集中力向上に向けた応用

前置きが長くなりましたがバイオフィードバックを集中力に応用した実験を見ていきます。

実験内容

実験のイメージ
実験では脳波計を被験者に装着し、脳波計から得られる脳波をフィードバックすることでパフォーマンスが向上するかが検証されました。

実験では1~10を繰り返しカウントする課題に対し、視覚的なフィードバック(視覚呈示法)と聴覚的なフィードバック(聴覚呈示法)の二つがそれぞれ検証されました。

具体的には脳波計で得られる集中力を0~100の値で評価し、視覚呈示法では60と80の位置に基準線を示した棒グラフをモニターに表示します。聴覚呈示法では集中力60以上の時にスピーカーから音楽を発生させました。

実験結果

実験結果のイメージ

実験結果は、ばらつきはある(特に聴覚呈示では集中力の推移が認識しにくいため顕著)ものの視覚呈示、聴覚呈示ともに集中力の向上が見られる結果となりました。

また実験は10日目まで連続で行われましたが、継続的に見ても集中力が当初よりも増大する傾向が見られました。

実験結果が他の変数に依存していないとは言い切れないので一概には言えませんが、バイオフィードバックの手法が集中力の向上にも有効であることが示されたと言えます。

まとめ

この記事ではバイオフィードバックの概要と、バイオフィードバック手法を使った集中力向上の研究を説明しました。
集中力を可視化することによって、意識的に集中力をコントロールできるようになるのは非常に画期的ですね。

こうした集中力の可視化が可能なデバイスは近年普及してきています。

以下の記事にそうしたデバイスを紹介しているので興味のある方は見てみてください。

今後IoT技術がより身近になれば「集中できない!」という人はだんだんといなくなってくるかもしれませんね。

今回参考にした論文などは以下のリンクからご覧いただけます。記事では詳細は省いているので、詳しく知りたいという方はそちらをご覧ください!

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