集中力は様々な身体の要素と関係していますが、心拍とも関係があるようです。
心拍数の計測をもとにして集中状態を計測する研究は多く、また心拍を活用したウェアラブル端末も出てきています。
この記事では心拍数と集中力の関係について研究と、心拍を活用したプロダクトを紹介します。
集中力と心拍数に関する研究
ここでは、集中力の測定に心拍を利用した二つの研究を紹介します。
講義の集中度と心拍数
講義の集中度の測定に心拍を使用する研究があります1)高津浩彰, 小関修 「心拍変動を用いた講義の集中度の評価の試み」 豊田工業高等専門学校研究紀要 第39号 2006。
RRI(RR-interval: RR間隔)という心電図の最も電位が高い地点(R波)の間隔データを生理指標として用いて集中度を測定する研究が行われています。
講義における学生の集中度を比較した実験では、集中力が緩んでしまった学生群は講義の進行につれてRRIの値が上昇する一方、集中力が持続した学生はRRIは上昇せず安定する結果を示しました。
RRIは緊張に比例して低下することが知られており、ある程度の緊張を維持しているとRRIが安定し、集中状態が持続することを示唆しています。
読書の集中度の測定と心拍数
また、読書中の集中度の変化を客観的かつ連続的に測定する手法として心拍数の利用が検討されています2)布山美慕, 日高昇平, 諏訪正樹 「身体動作と心拍数による読書中の熱中状態観測手法の構築」 知識共創第4号 2014。
ここではCVR-Rという前述のRRIのゆらぎの大きさを算出する変動係数(大きいほど副交感神経の働きが強くなりリラックス状態)が用いられています。
結果はCVR-Rが熱中時に負の相関を示しており、交感神経が優位、緊張状態にあったことを示唆しています。
集中力を測定できるリストバンドdoppel
https://www.wareable.com/wearable-tech/doppel-mood-altering-kickstarter-556より引用
ここまでは心拍を活用した集中状態の測定についての研究を見てきました。
また、心拍の振動を活用したリラックス効果で集中状態を生み出すウェアラブルデバイスも出てきています。
「doppel」は、リストバンドのように取り付けるウェアラブルデバイスです。
心拍のように感じられる小さな振動を流すことによってストレスが軽減され、集中状態が得られるとされています。
効果については研究でも効果が検証されています(“The calming effect of a new wearable device during the anticipation of public speech”)。
まとめ
この記事では、集中力と心拍数をテーマに、これらを扱った研究や最新のウェアラブルデバイスについて紹介しました。
紹介したdoppelは、アメリカとヨーロッパの一部にしか配送対応していないようで国内では残念ながらまだ入手できないようです。
国内でもウェアラブル端末はちらほらと出てきていますが、頭部に着用するものがほとんどです。こうしたリストバンド型の端末も出てくるのが楽しみです。