集中力のための栄養学 集中するために必要な栄養素を解説

集中力のための栄養学 集中するために必要な栄養素を解説

集中力食事は不可分な関係です。

以前の記事では、集中力を発揮するために血糖値の上昇を抑える必要があること、そのために低GI食品を摂取する必要があることをお伝えしました。

食事量を抑えることで血糖値の上昇を抑えることはできますが、それぞれの食事で必要な栄養素を取り入れることも食後の集中力を発揮するためには必要です。

この記事では、栄養素の定義・分類といった基礎知識を解説し、集中のために必要な栄養素、それらが含まれる食品について紹介していきます。

栄養素についての基礎知識

まず大前提として栄養素について詳しく知っておく必要があります。

ここでは、栄養素についての基礎知識を以下の二点で整理します。

  1. 栄養と栄養素の違い
  2. 栄養の分類 5大栄養素・3大栄養素・ビタミン・ミネラル

すでに知っている方は読み飛ばしてください。

栄養と栄養素の違い

栄養栄養素には厳密にはしっかりとした違いがあることをご存じでしょうか?

栄養の定義は以下の通りです。

栄養:生体が物質を体外から摂取し、消化、吸収、さらに代謝することにより、生命を維持し、健全な生活活動を営むこと

特定保健指導の実践定期指導実施者育成プログラム 厚生労働省

一方、栄養素の定義は以下の通りです。

栄養素:(栄養の過程で)取り入れる物質

特定保健指導の実践定期指導実施者育成プログラム 厚生労働省

つまり栄養は「栄養素」を取り入れて生命を維持する活動全般を指すということですね。一般的な栄養のイメージは「栄養素」に近いことが分かります。

栄養素の分類

次に栄養素の分類を見ていきます。

一般的な分類の仕方として以下の5大栄養素が知られています。

  1. タンパク質
  2. 脂質
  3. 炭水化物
  4. ミネラル
  5. ビタミン

前者の3つ(タンパク質・脂質・炭水化物)と後者の2つ(ミネラル・ビタミン)はエネルギーの源になるかという観点で大きく二つに分けられます。

前者を特に3大栄養素(またの名をエネルギー産性栄養素)と呼びます。

5大栄養素の図

ちなみに家庭科でもよく使われる分類として、第1群~第6群まで食品を分類した以下の図のような分類も知られています。

6類の栄養分類
https://pro.saraya.com/fukushi/eiyo-shokuji/kihon/balance.html「サラヤ福祉ナビ 栄養の基本」より引用

分類は若干異なりますが、大きく違いはないため、この記事では以下5大栄養素の分類に沿って解説します。

各栄養素と集中力

それぞれの栄養素の分類ごとに、その特徴と、集中力の観点からとるべき栄養素を紹介します。

エネルギー産性栄養素(3大栄養素)

5大栄養素のうち特にエネルギーを作る素になる栄養素を「エネルギー産性栄養素」あるいは「3大栄養素」と呼びます。

これにはタンパク質脂肪炭水化物の3つがあります。

※三大栄養素は糖質・脂質・タンパク質ともされています。厳密には炭水化物は糖質食物繊維から成ります。

ちなみに食物繊維は今回含めませんが、炭水化物を摂取する際に一緒に摂ると血糖値の急上昇を抑えることができるとされています1)https://agri.mynavi.jp/2019_03_07_63180/)。

タンパク質

タンパク質が重要なのはその構成源となるアミノ酸の効果があるためです。

タンパク質を構成するアミノ酸には、体内で作ることができる11個の非必須アミノ酸と、作ることができない(食べ物から摂取するしかない)9個の必須アミノ酸があります。

必須アミノ酸は食事からしかとれないため特に重要と言えます。

集中力に関係のある所でフェニルアラニントリプトファンの二つを紹介します。

フェニルアラニンは、チロシンという非必須アミノ酸のもととなると言われています2)https://www.zkai.co.jp/saponavi/el/series/6693/

チロシンは集中力を高める働きのあるホルモン、ノルアドレナリンなどのもととなります。

チロシンはチーズ大豆ナッツ類に多く含まれます3)https://athleterecipe.com/column/21/articles/201907240000790

トリプトファンは幸福ホルモンと呼ばれるセロトニンのもとになります。

セロトニンが不足すると脳の機能が低下すると言われています4)http://www.japanclinic.co.jp/counseling/detail.php?id=61

トリプトファンが含まれる食品として、チーズなどの穀物、バナナなどが知られています。

脂質

脂質では、主成分の脂肪酸などが重要です。

特に注目を集めているのは、DHAEPAなどのオメガ3系の脂肪酸です。

DHA(ドコサヘキサ塩酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)はイワシマグロサンマなどの魚に含まれていて脳の活性化に効果があると言われています。

炭水化物

炭水化物が重要なのは炭水化物がブドウ糖から構成されるためです。

ブドウ糖は脳の唯一の栄養源といわれています。

脳は常にブドウ糖を消費するので、できれば、血糖値の急上昇を抑えるように、一定時間ごとにブドウ糖を摂取し続けるのが好ましいです。

炭水化物についてはいうまでもありませんが、できれば血糖値の上がりにくい低GI食品を選ぶといいでしょう。春雨玄米などがこれにあたります。

エネルギーにならない栄養素

3大栄養素はエネルギー源となるものでした。

一方でエネルギーにはならないものの生命維持に必要な栄養素としてミネラルビタミンがあります。

ミネラルやビタミンは体内でホルモンに似た役割を果たします。

これらは必須アミノ酸などと同様、体内で作ることができず、食事から摂取する必要があります。

ミネラル

ミネラルには以下の13種類あります。

ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム・リン・鉄・亜鉛・銅・マンガン・ヨウ素・セレン・クロム・モリブデン

特に集中に関して重要なのはです。

鉄が不足すると貧血になることが知られていますが、貧血の症状は集中力の低下を引き起こします5)http://www.shinyuri-hospital.com/column/column_201902_2.html

鉄を食品から補給することで集中の低下を防ぐことができます。

鉄が含まれる食品は、鉄には吸収の早いヘム鉄ひじき納豆)、遅い非ヘム鉄レバーいわし)の大きく二つに分けられます。非ヘム鉄もタンパク質などと一緒に摂ることで吸収が早まると言われています6)http://www.do-yukai.com/meal/21.html

ビタミン

ビタミンは栄養剤などでよく知られていると思います。

ビタミンにはビタミンA、ビタミンDなどの油に溶けやすい脂溶性ビタミンと水に溶けやすいビタミンBなどの水溶性ビタミンがあります。

前者は油と一緒に摂った方が吸収によく、後者は油と一緒に摂る必要はないですが体内に残く排泄で流されやすいので少量を頻繁に摂る方がいいようです。

ちなみにビタミンB1,2,6,12と飛び番号になっていますが、これはビタミンとされたあとでビタミンと認定された後で、ビタミンでないと判定された物質があるためだと言われています7)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3

中でもビタミンB1はエネルギー源となる糖質の吸収を助け集中力の低下を防ぐと言われています。

ビタミンB1が含まれる食品としてはレバー豚肉などが知られています8)https://jp.glico.com/navi/dic/dic_19.html

まとめ

この記事では集中力と栄養素の関係および、おすすめの食材について紹介しました。

ナッツチーズレバーなどは栄養素の観点でバランスがいいと言えますね。

集中力に必要な栄養素を含む食材を意識して取り入れることで、パフォーマンスが上がることが実感できるでしょう。

一方で食生活を変えていくのはなかなか難しいのも事実です。

まずは朝食だけなど小さい変化から始めてみて続くようになってきたらまた改善という形で続けていくのがおすすめです。

References

References
1 https://agri.mynavi.jp/2019_03_07_63180/
2 https://www.zkai.co.jp/saponavi/el/series/6693/
3 https://athleterecipe.com/column/21/articles/201907240000790
4 http://www.japanclinic.co.jp/counseling/detail.php?id=61
5 http://www.shinyuri-hospital.com/column/column_201902_2.html
6 http://www.do-yukai.com/meal/21.html
7 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3
8 https://jp.glico.com/navi/dic/dic_19.html

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