集中を決定する脳波の種類 α波 β波 γ波 θ波 δ波とは?

集中を決定する脳波の種類 α波 β波 γ波 θ波 δ波とは?

人の脳波を計測することによって、集中、リラックスなど現在の状態がわかると言われています。

そのため条件によって集中状態の変化を確かめる実験ではよく脳波の測定が行われています。

しかし「脳波」とは一体何を指しているのか、「脳波の測定」でなぜ集中状態がわかるのかについてはわからないことも多いと思います。

この記事では、そもそも脳波とはなにか?脳波の種類にあたるα(アルファ)波、β(ベータ)波などは何を指すのかについて解説します。

そもそも脳波(EEG)とはなにか?

そもそも脳波とは、人間の脳を構成する神経細胞が発する微弱な電気信号を読み取り、波の形で表現したもの(あるいはその電気信号そのもの)です1)

人間の脳の活動は、脳を構成している神経細胞間での微弱な電気信号のやり取りによって行われていることが知られています。

この電気信号(活動電位)を読み取り、増幅することによって可視化できるようにしたのが脳波です。

脳の中に波があるというよりは電気信号を波として見えるようにしたものが脳波というわけですね。

脳波は一般に、電極を頭皮などに設置して行う脳波検査によって測定が可能です。

増幅、といっているのは、実際には脳波は約50μV(マイクロボルト、乾電池などで見られるV(ボルト)の100万分の1)とかなり微弱なためです。

脳波測定のイメージ
脳波は電極をとりつけることにより測定できる。頭皮と、電気を発する脳の間には頭蓋骨などがあり、かつ距離があるため、実際には漏れ出てくる微弱な電位を脳波計で増幅させて表示する

ちなみに最近ではこうした電極をつけなくても脳波が測定できるウェアラブルの端末も出てきており、「ニューロテック」と呼ばれる技術分野を盛り上げ始めています。

脳波の周波数別の分類

脳波の種類は周波数によって分類されます。
ここではそもそも周波数とは何か、どんな種類があるのかについて説明します。

そもそも周波数とは?

周波数と言われていま一つピンとこない人のために周波数について簡単に補足します。

周波数とは、一秒間に波形が向きを変える回数、すなわち振動数を指します。

脳波はその人の状態によって、その振動数が変動します。この違いによってそれぞれこの脳波の状態のときは〇〇波と呼ぼうと決めてる形です。

つまりα波という脳波、β波という脳波が存在するというよりは、同じ脳波の異なる状態(落ち着いているときは波が穏やか、緊張しているときは波が激しいなど)のことをα波、β波といった名称で分類している感じです。

ちなみに周波数が小さいほど波は穏やかな形になります(上は10Hzの周波数、下は70Hzの周波数)。
これも知識として覚えておきましょう。

周波数のイメージ
http://www12.plala.or.jp/mz80k2/electronics/wave/wave.htmlを参考に筆者作成

脳波の種類

それでは周波数別の脳波の種類を見ていきましょう。大きく以下の5つに分類されます。

  1. α(アルファ)波
  2. β(ベータ)波
  3. γ(ガンマ)波
  4. θ(シータ)波
  5. δ(デルタ)波

α(アルファ)波

8-13Hzの周波数のものはα波と呼ばれています(文献によっては8-12Hz,7.5~9.25Hzなど開きも見られました。)
閉眼安静時でリラックスした状態の時に後頭部を中心によく現れる脳波とされています1)「脳波の概要と知識 -生体計測屋より見た脳波の活用入門-(有)メディカルトライシステム大阪MaP工房 金子秀樹

また、α波は他の波の基準になる周波数の脳波です。以下他のものはα波を基準として、周波数の高いものを速波(β波)、低いものを徐波(Θ波、δ波)と呼びます。

β(ベータ)波

β波はα波よりも周波数が高い13-30Hzのものです。

覚醒状態のときによく表れると言われています。

γ(ガンマ)波

γ波は31Hz~の周波数(20Hz~50Hzとも)のものです。

瞑想などより高次の精神活動において顕著に見られると言われています。

ちなみに2018年のNature誌ではγ波のうち特定の周波数の電気刺激を与えるとアルツハイマー病のもとといわれるアミロイドβが減少するとの報告がなされています。

θ(シータ)波

Θ波は4~7Hzの周波数の波です。

α波が減衰したのちの傾眠状態で現れる脳波と言われています。

δ(デルタ)波

δ波は、θ波よりもさらに微弱な4Hz未満の波です。

深い睡眠時に出現し、Θ波と並んで覚醒時にはほとんど出現しません。てんかんなどの病気でまれに症状として現れることはあるようです。

脳波と集中力

それではこれらの脳波の種類がわかるとどのように集中力に役立つのでしょうか?
一般に集中状態は脳波の状態として現れることが研究から知られています。

例えば瞑想法と脳波の関係を調べた研究2)Kimiko KAVVANO, Mikio YAMAMOT, Hideyuki KOKUBO,VVeizhongCHEN and Tbng ZHANG ‘Characteristics of EEG during Various Meditation’ Journal of International Society od Life Information Sciience Vol 20, No.2, September 2002では、
「しばしば後頭部のα波と位相がそろった形で、断続的に出現する、前頭部のα波は、ものごとに集中するほど後頭部のα波とのずれが小さくなる傾向があり、この値を集中度の指標として用いている」と書かれています。

また「瞑想が深い状態の時ほどα波が大きくなる傾向が見られた」ことが指摘されています。

α波の現れ方によって集中状態が分かると言われるのもこうした分析に基づいています。

まとめ

この記事では脳波とは何か、周波数や脳波の種類について解説しました。

脳の働きと集中力は不可分な関係にあります。故に集中力と脳波の関係を調べる研究がすでに多数行われています。

脳の仕組みは複雑で、用語レベルでも理解するのがなかなか難しいですが、ぜひ自分の理解のために知識をインプットしていきましょう。

References

References
1 「脳波の概要と知識 -生体計測屋より見た脳波の活用入門-(有)メディカルトライシステム大阪MaP工房 金子秀樹
2 Kimiko KAVVANO, Mikio YAMAMOT, Hideyuki KOKUBO,VVeizhongCHEN and Tbng ZHANG ‘Characteristics of EEG during Various Meditation’ Journal of International Society od Life Information Sciience Vol 20, No.2, September 2002

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