マインドフルネスとは?Googleも実践する、集中力を高める瞑想

マインドフルネスとは?Googleも実践する、集中力を高める瞑想

こうしたマインドフルネスについて説明した本に「サーチ・インサイド・ユアセルフ」(チャディー・メン・タン、一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート著 柴田裕之訳 英治出版 2016)という本があります。

「サーチインサイドユアセルフ(Search Inside Yourself 略称SIY)」は、筆者が開発した情動的知能(EQ)をマインドフルネス(瞑想)をベースに高める目的の研修プログラムであり、Googleをはじめいくつもの企業で導入されているようです。

この記事ではマインドフルネスとはなにか、集中力との関係はどのようなものか、実際のプログラムであるサーチインサイドユアセルフの概要はどのようなものかなどについて説明します。

マインドフルネスとは?

マインドフルネスは、日本マインドフルネス学会HPによると以下のような定義が与えられています。

本学会では、マインドフルネスを、“今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること” と定義する。 なお、“観る”は、見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れる、さらにそれらによって生じる心の働きをも観る、という意味である。

また、マインドフルネスの考え方を世に広めたと言われるカバットジン博士はマインドフルネスについてインタビューで説明しています。

この中でマインドフルネスは以下のように言及されています。

Mindfulness is actually a way of connecting with your life and it’s something that doesn’t involve a lot of energy it involves a kind of cultivating attention in a particular way so what the way I define it is it’s paying attention on purpose in the present moment non-judgmentally…(マインドフルネスは実際のところ人が人生とつながる方法であり、多くのエネルギーを必要とせず、特定の方法、すなわち私が定義するように、今の瞬間においてわざと判断を行うことなく注意を払うような方法で、注意を養うようなものです。)

両者には「観ること」、「養うこと」という点において若干の相違が見られますが、カバットジン博士は別のインタビューでマインドフルネスは「awareness(気づき、意識)」とほぼ同義と語っており、特にその違いは重要ではなさそうです。「今この瞬間」に「判断や評価をせず」、「ただ注意を向ける」という点が共通しています。このあたりがマインドフルネスの勘所といえるでしょう。

マインドフルネスの考え方は、それを瞑想に取り入れた「マインドフルネス瞑想」によって近年急速に浸透することになりました。

このため「マインドフルネス=瞑想」と捉えられている記述も散見されます。

マインドフルネス瞑想についてカバッドジン博士は人間が生来持っているマインドフルネスを修練するための手法だと説明しています。

そして厳密に言えばそれは手法ではなく、心を体や外部の世界につなぐ「生き方」そのものであるとも言っています(参考:https://youtu.be/XVb6lvsq6Y4)。

マインドフルネス瞑想は、いわゆる「瞑想」と異なり、もっと広義の「マインドフルネス」を獲得する活動と言えます。

マインドフルネスと集中力

マインドフルネスと集中力はどのような関係があるのでしょうか?

「サーチインサイドユアセルフ」ではマインドフルネスは二つの能力を鍛えるとされています。

  1. 注意
  2. メタ注意

メタ注意は聞きなれない言葉ですが、これは「注意に対する注意」です。例えば、注意がそれた時に「注意がそれた」と心の中で知らせてくれる能力のことを指します。

そしてメタ注意を持つことが集中力を保つ秘訣であると説明しています。

つまり、注意がそれた時に立て直すということを断続的に繰り返すことができれば結果として常に注意を保てる状態、つまり集中状態が保てるということです。

メタ注意の能力=集中力と言えます。

Googleも実践するサーチインサイドユアセルフの中身

それではマインドフルネスを鍛えるマインドフルネス瞑想はどのように実践すればいいのでしょうか?

ここでは簡単に書籍で紹介されているサーチインサイドユアセルフ(SIY)について概要を紹介します。

SIYは次の3つのポイントから成ると説明されています。

  1. 注意力のトレーニング
  2. 自己認識と自制
  3. 役に立つ心の習慣の創出

順番に見ていきます。

注意力のトレーニング

注意力のトレーニング
SIYはEQ(情動的能力)を鍛えることを目的にしています。

注意力は情動的能力の基礎になります。

注意力を高めるためにSIYではまず、一般的な座って行う瞑想から始めて、次に7対話など日常生活にもマインドフルネスの考え方を広げていく手順を説明しています。

自己認識と自制

自制のイメージ
鍛えた注意力で、自分の認知や情動のプロセスを把握できるようにします。

自己認識は以下の3つの情動的な能力を含むそうです。

  1. 情動の自覚- 自分の情動とその影響に気づくこと
  2. 正確な自己査定- 自分の長所と限界を知ること
  3. 自信- 自分の価値と能力を強く実感すること

これらを育成するため、一瞬一瞬の注意を体の各部位に順番に向ける、「ボディ・スキャン」と自分に向けた記述をすることで自己発見をする「ジャーナリング」の二つの手法が提案されています。

また自制のためには、一見して些細な出来事に大きく情動が動かされてしまう(例えばキレてしまう)、「トリガー」に対処し、「情動と仲良く」なることが重要とされています。

役に立つ心の習慣の創出

習慣のイメージ
最後にモチベーションを高めること、共感を高めること、思いやりに関して述べられています。

ここではモチベーションを生み出すための「フロー」についても説明されています。

自分の未来をイメージして記述すること、思いやりを持ったヒアリングを行うことなどのトレーニングが提示されています。

まとめ

この記事ではマインドフルネスとは何かについて説明し、集中力との関係とサーチインサイドユアセルフについて紹介しました。

書籍「サーチ・インサイド・ユアセルフ」はこのEQを高める研修プログラムの簡単なカリキュラムにもなっています。
興味のある方は読んでみることをおすすめします。

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