集中力がほしいと誰もが思う一方で、一般の人には信じられないような集中力を発揮する人もいます。
そうした集中力や、集中力を発揮する人は、近年では「ハイパーフォーカス(hyper Focus)」として集中の理想状態として注目を集めています。
この記事ではそんな「ハイパーフォーカス」について解説し、普通の人がそうした集中力を手に入れるためにはどうすればいいのかも紹介していきます。
ハイパーフォーカスとは?
「ハイパーフォーカス」に関して、文献上では明確な定義は見当たりませんでした。
ここでは「普通の人ができないような長時間の深い集中(あるいはそのような集中を発揮する人)」としておきます。
能力?障害? -ハイパーフォーカスと過集中-
「ハイパーフォーカス」は日本語に訳すと「過集中」になるようですが、前者ではポジティブなニュアンス、後者ではネガティブなニュアンスとして捉えられることが多いようです。
とりわけ過集中はADHD(注意欠陥多動性障害)やアスペルガー症候群の方の症状として見られることが多いようです。
過集中は文字通り極度に集中して作業に取り組んでいる状態です。
一般に成果も出すことから社会的にも受け入れられる、褒められることが多いようですが、一方で反動での無気力や注意散漫を併発してしまうこともあります。
また、極度の状態になると、集中しすぎるがゆえに食事をするのを忘れたり、集中を妨げられたことに感情的になったりということもあるようです。
このように「過集中」は症状としてのニュアンスも強いのですが、「ハイパーフォーカス」はどちらかというとその能力に焦点を当てた言葉です。
メンタリストDAIGOさんの本に「自分を操る超集中力」(メンタリストDAIGO かんき出版)がありますが、この「超集中力」が訳語としては近いのかもしれないなという印象です。
ハイパーフォーカスは卓越した集中力を発揮する能力、ただし発達障害の症状として見られることもある、くらいの認識が正しいかと思います。
余談ですが、発達障害についても近年では障害としての捉え方よりも、むしろ特徴としての捉え方が広がっているように感じます。実業家の堀江貴文さんが「多動力」(堀江貴文 幻冬社)の書籍を出し、従来障害としてネガティブに捉えられていた多動性を能力として紹介したこともそうした社会通念の変化を示唆しています。
そういった意味では能力か障害かといった区別にこだわる必要はないのかもしれません。
ハイパーフォーカスは先天的か後天的か
ここまでの話を聞くと、ハイパーフォーカスは先天的な才能だという認識を持たれているかと思います。
寝食を忘れるほどの集中力を持つ人に関しては先天性が大きいと言わざるを得ませんが、一方で後天的にも高い集中力の獲得はできると言われています。
このサイトでもしばしば取り上げている「ヤバい集中力 1日ブッ通しでアタマが冴えわたる神ライフハック45」(鈴木祐 SBクリエイティブ)では、集中力に関して以下のように書かれています。
私たちの生産性が遺伝に左右されるのは有名な話で、4万人を対象にしたミシガン州立大学のメタ分析(複数の分析をさらにまとめた信頼度が極めて高い分析)でも、仕事への意欲や集中力は、生まれつきの性格によって約50%は説明できるとの結果が出ました。…思わずやる気が無くなりそうなデータですが、まだ気落ちしないでください。遺伝で決まってしまう集中力はあくまで全体の半分にすぎず、残りの半分は後からでも修正が効く”ある要素”で構成されているからです。…
「ある要素」についてはここでは割愛します。興味のある方はぜひ本書を読んで見てください。
さて、ここでも述べられているように遺伝などの先天的な要素によって決まるのは半分にすぎません。誰もがハイパーフォーカスを発揮できる可能性があるということです。
ハイパーフォーカスを発揮するためには?
それでは高い集中力を発揮するためにはどのようにすればいいのでしょうか?
集中力はかなり総合的な力です。食事・睡眠・生活習慣・環境など多くの要素が整ってはじめて高い集中力が得られます。
そうした意味では一概にこれをやれば集中力が高まる、といった方法論はありませんが、このサイトでまとめている集中力を高めるために有効ないくつかのトピックを紹介します。
人間の集中のメカニズムを知る
前章で、集中力を決定する「ある要素」について説明を省きましたが、ざっくりと言えば人間が共通して持っている二つの性質をうまく使いこなすことがそれにあたります。
その二つは「衝動性」と「理性」です。集中力の発揮のためにはまずこの二つの理解が必要と考えてください。以下の記事で内容をまとめているのでご覧ください。
また、集中の限界に関係のある周期として、「ウルトラディアンリズム」が知られています。こちらの記事もぜひご覧ください。
集中力が発揮できる状態を理解する
どのような作業だと人間は集中できるのか?ということも知っておいて損はないでしょう。心理学者のミハイ・チクセントミハイは「フロー理論」でこの集中力が発揮できる状態を説明しています。
ここで紹介されている「フロー状態」は「ハイパーフォーカス」と極めて類似性が高いものがあります。「フロー理論」については以下の記事をご覧ください。
食事に気を使う
食事も集中に大きく関わってきます。具体的には例えば、集中力を奪う原因になる血糖値の上昇を抑えるような食事が必要になります。
食事と血糖値の関係、血糖値をあげにくい食事については以下の記事をご覧ください。
睡眠をしっかりととる
睡眠時間をしっかりとることも集中力の発揮には不可欠です。
特に昼寝などを効果的に活用することによって、日中の眠気については抑える効果が期待できます。睡眠については以下の記事をご覧ください。
集中を妨げるものを排除する
自分の周りにある集中力を妨げているものを理解し、排除することも集中の発揮に大いに役立つでしょう。
なかでもスマートフォン、パソコンの二大デジタルツールは、使い方を見直すだけでも一定の効果が得られます。
集中ツールを使う
集中力の発揮に効果のあるツールを取り入れてみるのも方法の一つです。
最近ではウェアラブル端末を含め、いくつもの集中力に効果のある商品が出されています。手っ取り早く集中できる環境を手に入れたい人にはオススメの方法です。
また、タイマーの使用や、アプリを使ってのホワイトノイズの視聴など、音環境なども含めて改善することでより集中状態に入れる可能性が高まります。
集中状態に入るための方法を実践する
集中法を試すのも一つの手です。世の中には胡散臭いものも多く存在しますが、ルールを決めるだけで集中力が保てる環境は比較的容易に作れます。
世界的に有名なポモドーロ・テクニックは筆者もオススメの方法です。ポモドーロ・テクニックについては以下の記事で解説しています。
まとめ
この記事では深い集中状態、「ハイパーフォーカス」について取り上げました。
まずは身の回りでできることからはじめて、周りから羨ましがられるようなハイパーフォーカスを目指していきたいですね。
集中力の発揮には無料のタイマー等の使用もおすすめです。
より本格的にタイマ―のみのアプリを試したい方は以前の記事で25個のタイマーアプリを比較しているので参考にしてみてください。