集中力についてのインプットのため海外の医学誌や論文に目を通す機会も多いのですが、その際に「集中」の英訳について気になることがありました。
大体の訳語には”focus“が使われています。
一方で学校では集中の訳語として”concentrate“も同時に学びます。
集中の訳語としてはどちらが正しいのでしょうか?
この記事ではfocusとconcentrateの二つの違いについてまとめます。
辞書的な定義
まずは二つの単語の辞書的な意味についてジーニアス英和辞典をもとに見ていきます。
focus
focusについては以下の通りです。
1. (他)<注意・精神など>を・・・に集中させる[on, upon] ex. Focus your attention on the lesson(授業に集中しなさい).
2. (自)[・・・に]精神を集中させる
concentrate
同じくconcentrateについても見ていきます。
1. (他)<人が><努力・注意など>を<目的・仕事など>に集中する[on, upon] ex. concentrate one’s attention on one’s work(仕事に注意を集中する).
2. (自)<人が>[・・・に]努力を集中する、注意を集中する、専念する[on, upon] ex. Please don’t interrupt while I’m concentrating on my work(仕事に集中している時にじゃましないでください).
どちらを使っても問題はない?
こうして辞書的な定義を見てみるとそれほどの違いはないように見えます。
実際、集中の英訳として、focusとconcentrateはどちらを使ってはいけないという厳密なルールは無いようです(参考:https://www.aeonet.co.jp/school/kanto/kanagawa/1413/kids/blog/2020/01/024434.html)。
会話をする時に特に使い分けに注意を払う必要はなさそうです。
focusとconcentrateのニュアンスの違い
一方、微妙なニュアンスの違いはあるようで英英辞典を見ると少しニュアンスの違いが見えてきます。
focusについてはオックスフォード現代英英辞典では以下の様に書いてあります。
【focus】to give attention, effort, etc. to one particular subject, situation or person rather than another
ex. The discussion focused on three main problems.
【concentrate】to give all your attention to sth and not think about anything else
ex. I decided to concentrate all my efforts on finding somewhere to live.
前者は、他のものに比べて特定のものに注意や努力を集中させる、というニュアンスだとわかります。
一方後者は全ての注意を向けて他のことは考えない、というニュアンスだとわかります。
図解すると以下の様な感じでしょうか。focusは他のものがある中で一点に焦点を当てるイメージ、concentrateは一点に集中させるイメージです。
おまけ:集中に関しての他の表現
おまけとして、集中についての他の表現についても見ていきます。
【glue】
glue oneself toの形で、集中するの意味になります。
ex. glue oneself to one’s book(読書に集中する)
【lock in】
口語的にはfocusと似たようなニュアンスでlock inも使われるようです(参考:https://hapaeikaiwa.com/2016/10/20/%E3%80%8C%E9%9B%86%E4%B8%AD%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%8D%E3%81%AE%E8%8B%B1%E8%AA%9E%E3%81%AF%E3%80%8Cfocus%E3%80%8D%E3%82%84%E3%80%8Cconcentrate%E3%80%8D%E3%81%A0%E3%81%91%E3%81%98%E3%82%83%E3%81%AA/)。
ex. It’s time to lock in. Let’s get this work done!(集中してこの仕事を終わらせましょう!)
まとめ
「集中」の訳語としてfocusとconcentrateの違いについて説明しました。
日常的に英語を使ったり、英文を読んだりする機会がない限り、違いを意識する場面は少ないとは思いますが、少し知っておくだけでちょっと自慢できますね。
ぜひ意識して使い分けてみてください!