集中してタスクを片付けるためには、やるべきタスクが明確になっている必要があります。
一方で、日々色々なタスクが入ってくるためなかなか整理できずに適当に行ってしまうこともしばしばだと思います。
そんなタスク管理についての有名な手法にデビッド・アレン(David Allen)氏のGetting Things Done(物事をなしとげる、略称GTD)があります。
この記事では、彼の著書「Getting Things Done -the art of stress-free productivity」の中から重要な要素を抽出し、Getting Things Done(以下GTD)手法について解説していきます。
GTDの概要
GTDとは?
まずGTD手法とはどのようなものなのでしょうか。
GTDは常にストレスフリーな状態を作り、ハイパフォーマンスを生み出すためのマネジメント手法であるとされています。
GTD手法を使う目的について本書冒頭では以下のように記述されています。
This book offers a proven method for this kind of high-performance workflow management.
It provides good tools, tips, techniques, and tricks for implementation.
(本書は(このような)ハイパフォーマンスのワークフローマネジメントに向けた実証された手法を提案します。そして実装に向けたよい道具、コツ、技術、方法を提供します。)
GTDのやり方
GTDは具体的には以下の5つのステップからなります。
- 洗い出す
- 明確にする
- 整理する
- アップデートする
- 選択する
順番に見ていきます。
洗い出す
まず自分の注意を引いているものを全て洗い出します。
人の頭の中には「あれをやらなきゃ」「これができたらな」「それすべきだよな」というような、考えが日々頭の中でめぐっています。
こうしたものが頭に埋まっている状態、思い出そうとして思い出せない状態はストレスが高いと言えます。
これらをまずは自分の外にアウトプットすることから始めます。大小や緊急度に関わらず全て出していくのがポイントです。
明確にする
次にアウトプットしたものが何を指しているか、それに関して行うべきアクションは何かを明確にします。
タスクが大量に目の前に出されている状態は、可視化されない時よりもストレスが高い可能性があります。
これらに対して、なにを行うべきなのかを明確にします。タスクレベルで分解されている状態になるのが好ましいです。
整理する
明確にしたタスクを片付けていく前提で、「いつ」「何を」「どのような形で」取り組み、頭の中から取り出すのかを整理します。
例えば明日までにやるべきことのリスト、いずれやりたいリストなどの形で整理する形が考えられます。
アップデートする
そして作成したリストについては常にアップデートします。
仕事や作業は、常に新しいものが入ってきます。定期的に更新することもGTDではタスクの一環になっています。
選択する
作業に取り組みます。
ここでは「選択する」となっているのがポイントです。
人は、インパクトの強いタスク、直近で入ってきたタスクをすぐにこなしてしまおうとする性質があります。
あくまで、整理されたタスクを優先度の高い順に選んでこなしていくのがポイントです。
ワークフローについては以下のような図で説明されています。
ちなみにここまで読んで「ブレインダンプ」との類似性に気づいた方は鋭いと思います。
「ブレインダンプ」も同様に、全てを書き出し、タスクリストの形で整理する方法です。
ブレインダンプについて知りたい人は以下の記事を参照してください。
GTDの活用
GTDは本当に役に立つのか?
GTDとはなにか、どのようなステップから構成されるのかを見てきました。
ここまで読んで、本当に役に立つのか?と思われた方もいると思います。
実際、GTDは合理的ではありますが、手法単体では実践するのが難しいと思います。
GTDではこうしたタスクを管理するためのツールと、こうしたタスク管理を回していくためのセルフマネジメント術が重要になります。
タスクマネジメントについては全般的になるので、ツールについてを以下紹介します。
GTDの活用ツール
GTDは古い手法だけあって元々は紙やポストイットを使って取り組むことが意図されています。
紙だけだとまとめる作業が大変ですし、アップデートする作業も非常に大変だと思います。
この大変さを解消する手段として、ソフトの活用が挙げられます。
現代では、GTD手法を簡単にパソコン上で再現できるツールも数多く出てきています。
ここでは代表的なTrelloとjootoを紹介します。
Trello
Trelloは、付箋を作るような感覚でタスク管理ができるツールです。
Trelloの公式ブログにはGTDの実際の活用方法も書かれています。合わせて参照して見てください。
TrelloでGTDメソッドを実践して生産性向上を実現する方法
jooto
jootoは、Treloと同様プロジェクト管理ができます。
機能的には似たところが多いですが、Trelloがもともと海外のものが日本向けにローカライズされたものなのに対して、プレスリリースで有名なPR Timesが運営しており、日本向けに使いやすいインターフェースなのが特徴です。
またガントチャートが使えるのが特徴です。
jootoについてもGTDとの関連性が書かれています。以下の記事も参考にして見てください。
GTDとは?ストレスをなくすためのタスク管理法をJootoで実践
まとめ
この記事ではGTDというタスク管理手法について紹介しました。
原書は英語で読むのが大変だと思うので、邦訳版の「仕事を成し遂げる技術―ストレスなく生産性を発揮する方法」(デビッド・アレン著 森平 慶司訳 はまの出版 2001年)を読むとより詳細な手法についてわかると思います。
興味のある方は合わせて読んでみてください。