集中して仕事に取り組むためには優先順位づけや、やる作業の明確化が欠かせません。
一方で、これらは重要だと頭ではわかっているものの、どのように優先順位づけしていいか分からず、気がつくと特に考えないまま1日の仕事に着手してしまうことも少なくないのではないでしょうか。
こうした優先順位づけや、タスクの明確化に有効な方法としてブレインダンプと呼ばれる方法があります。
またこの手法はシンプルながら思考を整理し作業中の集中力を高めるのにも効果があります。
この記事ではそんな集中法、ブレインダンプについて見ていきます。
ブレインダンプとは?
ブレインダンプとは簡単に言えば、頭で考えていることをすべて紙に書き出す方法です。
ブレイン(brain:脳)の中身をダンプ(dump:投げ捨てる)というニュアンスです。
では紙に書き出すことによってどのような効果が得られるのでしょうか?
ブレインダンプをwebで検索してみると、例えば以下のようなメリットが言及されています。
- 頭の中がスッキリする
- 脳内が可視化できる
- 新しいアイデアが生まれる
- 目標達成プロセスを明確にする
確かに色々なメリットが語られていますが、これだけ聞くと、他の手法、例えばブレインストーミングなどとどこが違うのかが明確にわかりづらく、また、結局何の役に立つのかが不明確だと思います。
実際私も「言いたいことはわかるけどそれって集中法とかよべるもの?」と思っていました。
こうした疑問に答えてくれる書籍として「ブレインダンプ-必ず成果が出る驚異の思考法」(谷澤潤 東洋経済新報社)を紹介します。
本書では塾経営をしている筆者が、実務の中でブレインダンプの活用法やその効果などが詳細に記載されています。
この記事では本書で定義されている「ブレインダンプ」を用語の定義とし、その要点について説明します。
ブレインダンプの内容
広義のブレインダンプと狭義のブレインダンプ
まず、本書を読んだ私の解釈ですがブレインダンプには広義のものと狭義のものが存在します。
広義のブレインダンプ
これは多くのサイトで紹介されているように、紙に思いついたことを書いていくやり方です。
主に以下のような目的で行います。
- 浮かんだアイデアを無駄にしない
- 頭のメモリを開けておく
- 思考を整理する
これはA4の紙やメモ帳、手帳などにその都度思いついたことを書き留めるような形で行えばよく、一般的な「メモ」を日常的にとる方法に近いと言えます。
時間を決めて取り組むなどのやり方が紹介されているものもありました。
この辺りは他のサイトに説明を譲りたいと思います。
狭義のブレインダンプ
この記事ではこちらの説明をメインに行います。
端的に言えば、紙に書き出すというブレインダンプ手法をより実践的な形に応用したものになります。
あとで述べるように模造紙を使うなど、より大掛かりに行います。以下狭義のブレインダンプを「ブレインダンプ」として扱います。
ブレインダンプの目的は?
ブレインダンプのわかりやすい目的を一つ挙げるならば「ToDOリストを作成すること」です。
「えっそれだけ??」
と思われるかもしれませんが、ここでいうToDoリストは、自分のやるべきことをすべて洗い出した中で完璧に優先順位づけがなされた向こう2週間のタスクが順番に書かれたリストです。
ToDoリストを活用している人は多いと思いますが、作成する際に以下の二つが大きく問題になると思います。
- どれくらいの粒度のタスクを設定するか
- どのように優先順位をつけるか
こうした悩みを事前に解消しておくためにブレインダンプ手法が存在します。
ブレインダンプのやり方
ではブレインダンプのやり方を見ていきましょう。
本書では「紙に書き出す」という条件以外にも事細かに条件が記載されています。
主なものを挙げると以下のようなものです。
- 模造紙を用いる
- カラーペンなどを使って行う
- 3,4週間の間をあけて行う
- 1日フルに使うくらいの気持ちで全力で取り組む
- 頭に浮かんだことを片っ端から自分にあったフォーマット(マインドマップのような形でも可)で書き込む
模造紙に書き出す内容は以下の4つです。順番にこれ以上出ないというところまで書き出していきます。
- 欲しいものを大小関わらずすべて書き出す
- やらなければならないことを書き出す
- ビジネスアイデアを思いついたものも含めてすべて書き出す
- 悩みや不安、借金を書き出す
これらをもうでないというところまで書き出すのが第1ステップです。
そして紙に書き出した後の第2ステップ以降が極めて重要です。
紙に書き出したものを順番に吟味し、優先順位づけを行なっていきます。
やらなければならないことに関していうと、ここでは2,3週間以内に片付けるタスクという基準でタスクの分解と優先順位づけを行なっていきます。
全体を通してのポイントはその日1日を費やす覚悟で全身全霊をかけて取り組むことです。
一見遠回りに思えるかもしれませんが、ここで時間を使って優先順位をつけたことが自分の中で確認できれば、後の作業は上から片付けていくだけになります。
ブレインダンプの効果
ブレインダンプをすると、次何をやるかを考える必要がなくなり上から順に片付けていく体制に移行できます。
特に忙しいビジネスパーソンにとって、取り組むタスクが決まっているかそうでないかの違いは日々のパフォーマンス、その結果としての成果に大きな差をもたらします。
本書冒頭ではコピー1本で数億円稼ぐというライターがこの方法を実践している旨が書かれています。
できるビジネスパーソンになるために是非取り入れたい習慣です。
まとめ
この記事ではブレインダンプについて、広義のものと狭義のものがあることを説明し、狭義のブレインダンプ、すなわち目標設定やタスク管理の手法として紙への書き出しを行う方法を紹介しました。
やることが明確になっていないとせっかくの集中力も意味をなしませんし、他のことが気になっては高い集中力を発揮できません。タスク管理と集中力は不可分なのですね。
ここで取り上げた内容はほんの一部なので興味のある方は書籍の方も参照して見てください。
「広義のブレインダンプ」やタスクの分解や優先順位づけにおける思考過程も書かれているのでおすすめです。