集中力がほしい、という人は「集中が持続しない」ことに悩みを抱えているでしょう。
では一般的に人の集中時間はどれくらい持つのでしょうか?
この記事では集中法として有名な「ポモドーロ・テクニック」で推奨されている「25分+5分」のルールを元に集中の持続時間について見ていきます。
ポモドーロテクニックとは
「ポモドーロ・テクニック」は25分の作業、5分の休憩を交互に繰り返す作業方法です。
このポモドーロ・テクニックを提唱したのはコンサルタントで起業家でもあるフランチェスコ・シリロ氏です。
彼は著書「どんな仕事も「25分 + 5分」で結果が出る ポモドーロ・テクニック入門」(フランチェスコ・シリロ著 斉藤裕一訳 CCCメディアハウス)でこの集中法のやり方と有効性について述べています。
著者は大学一年生の時に自分の勉強の効率が上がっていないことに悩み、本当に客観的に短い時間内に集中状態を保てているのか?に疑問を持ちました。そこで、ポモドーロ(イタリア語でトマト)の形状をしたキッチンタイマーを使用することを思いついたそうです。
その後どのような時間で行えば集中状態に最もいいかを検証、1992年にそうした集中法を「ポモドーロ・テクニック」として発表しました。1)「どんな仕事も「25分 + 5分」で結果が出る ポモドーロ・テクニック入門」(フランチェスコ・シリロ著 斉藤裕一訳 CCCメディアハウス)
それでは25分+5分の30分を1セットとするポモドーロ・テクニックは合理的なのでしょうか?
ポモドーロ・テクニックの妥当性について詳しく知るためには人間の集中力の持続時間について知っておく必要があります。
人間の集中力の持続時間
人間が集中力を連続で保っていられる時間はどれくらいでしょうか?定量的な側面と定性的な側面から見ていきます。
定量的には集中力の持続時間について根拠は見当たらない。
実際に集中時間の測定については国内の論文は少なく、巷では「8秒説」「15分説」などがあるようです。
一方で集中の持続時間の定義は実際のところ曖昧です。例えば前者では「対象を注視し続けられる時間」と定義している(参照先は見当たらないため「定義しているよう」)なのに対し、後者では前頭葉のガンマ波の測定をもとにしているようです。また後者に関しては60分連続で学習したケースと、15分×3セットで学習したケースの長期的な効果の比較を扱ったのみで「人間の集中の持続時間は15分」とするのは早計と言えそうです。
また、ポモドーロ・テクニックについてもシリロ氏の著書では定量的なデータについては特に触れられておらず、実際の使用法がメインに書かれています。。
定性的には30分程度が最適?
定性的にはシリロ氏の著書で、25分+5分の30分の時間設定にしていることについての説明がなされています。
ポモドーロをどれだけ続けるかは、2つの要素のバランスを取って効果を最大限に高めることがポイントになる。…
- ポモドーロは作業の「原単位」に基づかなければならない
- ポモドーロは意識と集中力、明晰な思考を促すものでなければならない。
順番に見ていきます。
作業の「原単位」はどれくらいか?
前者の要素について原単位とは「作業の成果が生み出せる最低限の時間の長さの単位」と言い換えられます。
著書では以下の理由が示されています。
- 作業の時間当たりの成果は、例えば1ヶ月や1日のように長い時間では季節や時間帯によって必ずしも等価とは言えない
- 短すぎると成果が出せないが、1時間ほどになると今度は(外部からの干渉など)中断の影響が大きくなる。
意識と集中力、明晰な思考を促す時間はどれくらいか?
後者の要素については、経験的に説明されています。
経験的に、短い休憩を何度か続けた後に20〜45分の休憩を取ると、注意力と頭の働きが最大限に高まる
また以下のように実験的にもこの時間が妥当であるとの見解が示されています。
ポモドーロ・テクニックをメンタリングに試行的に応用した実践例では、効果を見極めながら時と場合に応じて自由にポモドーロの長さを決める手法が取られた。試行は1時間のポモドーロで始まり(25分では短すぎると見なされた)、それから2時間に延ばした後に45分間に短縮、さらに10分に縮めた後、最終的に30分に落ち着いた。
集中時間についてはこのサイトでも今後詳しく見ていきますが、現状25分には定量的な根拠はないと言えるでしょう。シリロ氏の経験則・定性的な推論によるものと理解しておく方が誤解がないと思います。
まとめ
この記事では集中の持続時間についてポモドーロ・テクニックの25分、巷で言われている8秒説、15分説などを取り上げ、実際に集中の持続時間について定量的には明確な定義はないことを説明しました。
海外の先端研究など調べられていない部分もあるので、今後集中の持続時間についてはこのサイトでも取り扱っていきたいと思います。
一方で、筆者もポモドーロ・テクニックを利用する中でこうした時間を区切った学習そのものには大きな効果があると考えています(これも経験則的ではあります)。
以下の記事ではポモドーロ・テクニックの効果的な使い方について解説しています。
集中の持続時間は個人差があると考え、これらのテクニックをいったん活用してみて自分に最適な時間を探っていくのがよいのかもしれません。
また、以下の記事ではすぐに使えるポモドーロテクニックを活用した無料アプリを比較しています。合わせて参考にしてみてください。
References
↲1 | 「どんな仕事も「25分 + 5分」で結果が出る ポモドーロ・テクニック入門」(フランチェスコ・シリロ著 斉藤裕一訳 CCCメディアハウス) |
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