集中法としてよく知られている「ポモドーロ・テクニック」。前回の記事では、その概要について触れ、「25分+5分」で集中と休憩を繰り返すことの時間設定については定量的・科学的根拠はないことを示しました。
まだ読んでいない方は以下のリンクからご覧いただけます。
一方で、ポモドーロ・テクニックは全世界的に支持を集めている集中法なので、その効果があるのは確かでしょう。
提唱者のシリロの書籍「どんな仕事も「25分+5分」で結果が出る ポモドーロ・テクニック入門」(フランチェスコ・シリロ CCCメディアハウス)をもとに、ポモドーロ・テクニック(以下ポモドーロ)の使い方について5つの要点を簡単に紹介します。
こんな方にオススメです!
- ポモドーロの効果的な使い方がわからない
- ポモドーロを日々の作業に取り入れたい
- ポモドーロはなにがいいのかを知りたい
ポモドーロ・テクニックの5つの活用方法
シリロ氏の著書では、ポモドーロの活用方法について詳細に記述されています。
ここではその要点を5点抽出し、解説します。
シートによる可視化と分析
ポモドーロ・テクニックはシートの活用が推奨されているのをご存じない方は多いかもしれません。
しかも、かなり詳細に使い方が決められています。
シートは大きく「今日やること」シートと「作業の在庫」シートに分かれます。文字通りですが、前者に今日やるべきタスク、後者に今後やるタスク、作業中にやることを思い出した、やる必要が出てきたタスクを書き出していきます。
ここでは詳細は割愛しますが、作業内容を記載することで1日のタスクを振り返れるようにしておくことが極めて重要です。
シートはシリロ氏のwebサイトで販売していますが有料なので、わざわざ買うほどではないかもしれません。今後このサイトで、独自のものを作成し、無償で公開しようと考えています。
タスク分割
タスクの分割についてもかなり詳細に記載されています。
要は25分のサイクルで回せるようにタスクを細分化する必要があるのですが、基本的には一つの作業ブロックに対して4ポモドーロ((25分+5分)×3+25分+15分=130分)のサイクルが推奨されています。
5個以上のポモドーロを設定することも可能ですが、7個までにするようにとも記載されています。
25分でできる作業については、個々人の能力に合わせて経験則的にどのくらいかを図っていくのが好ましいと思われますが、一例として「〇〇に関する記事を1つ書く」くらいにしておくと良いかと思われます。
25分の作業時間へのコミット
前提条件とも言えますが、25分間の間は(シートに記入した)作業内容の遂行に完全にコミットします。他のことは一切やらないというルールが必要です。
25分の作業時間内に、「あ、そういえばあれやらないと。。」という感じで別の作業を挟むのはNGです。もしこのように他のやることを思い出したり、他に注意が逸れた時には次項の「干渉に対してのルール決め」に移ります。
逆に言えば、それだけ最初のタスク分割が優先度の高いタスクから並べられていることが必要になってきます。このあたりはテクニックを実践する中で磨かれていく感覚だと思うので、初めはあまり意識せずトライアンドエラーで行っていくのがいいでしょう。
内的・外的な干渉に対してのルール決め
前項でも書いたように、「あ、そういえばあれやらないと。。」という瞬間が来ることは誰でもあります。
これは内的な干渉です。内的があるということは当然外的もあります。それぞれ見ていきます。
内的な干渉
内的な干渉は、気が散ってしまったり、他のタスクを思い出したりすることを指します。
前者の場合は、作業に戻ります。どうしても作業に集中が戻らなくなってしまった場合はそのポモドーロを中断して、新たなポモドーロを始めましょう。
後者の場合は、その思い出した作業をシートの「作業の在庫」パートに書き残します。そして、一度優先度を吟味した上で、優先度が高ければ作業タスクに転記し、そうでなければいつまでにやるかを付記して再び作業に戻ります。
また作業の中断が起こった際には作業項目の欄にマークをつけておくことも推奨されています(著書では*マークの使用を推奨)。これは後で見返した時に「ここで中断したんだな」と分かるようにしておくためです。これは次項の「外的な干渉」についても同様に記載します。
外的な干渉
外的な干渉は、人から話しかけられたり、なにか周りで起きたことによる作業の中断を指します。
この場合は予防と対策に大きく対処が分かれます。
まず予防については、極力自分の集中時間には話しかけないでもらうように働きかけを行うことなどを指します。基本的に緊急の要件と言っても25分が待てないというレベルの緊急度のものは少ないです。自分の休憩中に話しかけてもらうようにすることで中断を予防できます。
次に対策については、内的な干渉と同様です。タスクを要求された場合については優先度の判断を行う、中断によって集中力が切れた場合はポモドーロを中止するといった基本ルールは「内的な干渉」のケースと同じです。
音の利用
ポモドーロではゼンマイ式の音の出るキッチンタイマーの使用を推奨しています。
これは瑣末なことのようですが、時間の経過を感じながら作業をすることで、作業の効率が上がる感覚は私も実感しています。
そんなものないよという人はアプリの使用も有効です。最近ではいいアプリが多く公開されています。
私がよく使用しているアプリ「Focus To-Do」ではBGMとしてこの時計のチクタク音が設定できるのでとてもオススメです。
まとめ
ここでは省略しましたが、紹介したシリロ氏の本では組織でのポモドーロ・テクニックの活用法など会社レベルでも応用可能な内容がが他にも詳細に記載されています。実際に組織でも活用されていて、研修プログラムも存在するようです。
ポモドーロ・テクニックは有名がゆえに「25分+5分で行う」、というルールの部分のみが一人歩きしている印象を受けます。
集中状態を作れるようにする、というゴールを見失わないようにポモドーロ・テクニックを活用して集中するためのマイルールをこの記事を参考に作っていっていただければ幸いです。より詳しく知りたいという方はシリロ氏の著書も参考にして見てください。