ホワイトノイズって何?集中力への効果や作業・勉強への取り入れ方

ホワイトノイズって何?集中力への効果や作業・勉強への取り入れ方

ホワイトノイズ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

ホワイトノイズは集中力を高めるのに効果があるとされており近年急速に注目を集めています。

この記事ではホワイトノイズとは何か集中力とどう関係があるのかどのように日々の作業に取り入れればいいのかについて説明します。

ホワイトノイズとは

ホワイトノイズとは、人間の可聴周波数(20Hz〜20,000Hz)の音が全てバランスよく含まれるノイズです。

ホワイトノイズの周波数
ホワイトノイズの周波数https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%8E%E3%82%A4%E3%82%BAより引用

こう言われてもあまりピンとこないかと思います。

わかりやすく言えば、アナログテレビ世代には懐かしく感じられるかもしれない「テレビの砂嵐の音(スノーノイズ)」の「ザーーーッ」という音が典型的なホワイトノイズと言われています。

これでもどんな音かわからないという方は以下の動画で音を聞いてみてください。

英語の動画(SciShowというチャンネル登録者600万人超の人気科学チャンネル)ですが、「ホワイトノイズ」、そして同じく色を冠したノイズである「ピンクノイズ」、「ブラウンノイズ」がそれぞれ音で説明されています(ホワイトノイズ:0:26~、ピンクノイズ:2:02~、ブラウンノイズ:2:33~)。

動画を見るとわかりますが、どのあたりが「ホワイト」なのかについては光との比較で説明されています。

光と音は共に波であり、似ている部分があります。虹を見ると光には様々な色が含まれているのがわかりますが、それらの色の光を全て合わせると「白」になります。あらゆる周波数のものを合わせると白になると簡単に理解しておくといいでしょう。

ホワイトノイズのポジティブ効果

ホワイトノイズはいくつかのポジティブな影響があることが報告されています。主に以下の3つの効果があります。

  1. 集中力の向上効果
  2. 認知機能の向上効果
  3. 鎮静効果

一つずつ見ていきます。

ホワイトノイズと集中力

ホワイトノイズの集中力への効果については複数の文献で効果が指摘されています。

ホワイトノイズが注意力が欠如した児童に与える好影響について書かれた海外論文1)Göran BW Söderlund, Sverker Sikström, Jan M Loftesnes3, Edmund J Sonuga-Barke “The effects of background white noise on memory performance in inattentive school children” Article in Behavioral and Brain Functions September 2010では以下のような説明がなされています。

バックグラウンドノイズにさらされると、注意力のない子供たちのパフォーマンスが向上し、注意力のある子供たちのパフォーマンスが悪化し、注意力のある子供と注意力のない子供たちの一時的な記憶の違いがなくなりました。

ここでは論文の詳細な内容は割愛しますが、注意力の欠如した子供において好影響が見受けられるという興味深い結果が示されています。

ホワイトノイズと認知機能

ホワイトノイズは認知機能の改善に効果があることも報告されています2)大林和香那,中田大貴 「Go/No-go課題中の事象関連電位におけるホワイトノイズの効果」 03心−09−ポ−67(36) JSTAGEより引用

これはノイズを加えると、応答が共鳴し強くなる現象、「確率共鳴」によるものと説明されています。

ちなみに確率共鳴は、微弱な振動で身体のパフォーマンスが改善することから身体科学の領域でも関心が高まっています。

これに伴い、ホワイトノイズは脳のドーパミンの分泌を促します。ドーパミンは脳内の報酬系(快楽を感じる部分)を活性化させると言われており(参照元:厚生労働省 E-ヘルスネット)、これが認知機能に効果を与えると言われています。

ドーパミンは神経伝達物質の一つです。

ちなみに神経伝達物質やホルモンといった単語については以下の記事で解説しています。

ホワイトノイズと鎮静効果

ホワイトノイズが新生児に鎮静効果をもたらすとの論文もあります3)藤智亮, 勝田啓亮, 坂田智海, 立石憲治 「音刺激が新生児に及ぼす鎮静効果」 日本生理人類学会誌 VoL18, No.4 2013,11 181−186

ホワイトノイズと同じく、冒頭で紹介したピンクノイズやブラウンノイズにも同様の鎮静効果があるようです。

ホワイトノイズを作業で活用する

ここまでホワイトノイズのポジティブな効果について見てきました。

それではホワイトノイズを作業に取り入れるには何を使えばいいでしょうか。

ここでは①無料音源の使用Esignton Glassの使用に分けて紹介します。

ホワイトノイズの無料音源を利用する

無料音源のイメージ

ホワイトノイズの無料音源はインターネット上からも入手が可能です。いくつかの方法を紹介します。

ストリーミングサービス

spotifyAmazon Prime Musicなどでは、「white noise」で検索するといくつもホワイトノイズが利用できます。

これらを日常的に利用している人はこちらを試すのが手っ取り早いでしょう。

個人のサイト

個人のサイトでもホワイトノイズをダウンロードできます。

こちらのノイズ置き場のサイトがおすすめです。

Youtube

Youtubeにもホワイトノイズ音源はあがっています。ただしホワイトノイズ動画に対し、著作権侵害が報告されているとの記事も見受けられました(参照元:ホワイトノイズを流すだけのYouTube動画が著作権侵害の対象となった理由)。

真偽は不明ですが、念のためこちらは注意しておいたほうがいいかもしれません。

ホワイトノイズで集中できる砂時計「Esington Glass」

Esignton Glassのイメージ
https://www.kickstarter.com/projects/esington/esington-glass-the-ultimate-productivity-timer/posts?lang=jaより引用

ホワイトノイズを出すことによって集中力を引き出すためのツールも発売されています。

Esington Glass」はホワイトノイズを発すると言われる巨大な砂時計のようなツールです。海外のクラウドファンディングサイトKickstarterで30万ドル以上を調達し、既に商品化されています。実用性もさることながらそのデザイン性によっても評価されています。

Esington Glassの公式サイトによると、Esigntonグラスの出すホワイトノイズによって、脳が「ハイパーフォーカス状態」に移行するよう訓練される、との説明があります。

ハイパーフォーカスとは、簡単に言えば深い集中状態のことを指します。ハイパーフォーカスについては以下の記事で解説しています。

このようにEsington Glassを使用することによって、ホワイトノイズによる集中効果が期待できます。

一方で、レビュー記事によると、実際には机に置くと音が聞こえにくくなる、最初にガラスに当たる数分以外は音が聞こえなくなるといった難点もあるようです(参照元:「極限まで集中する「ハイパーフォーカス」状態を生み出しタスクを25分以内にやりきるようにするための「Esington Glass」レビュー」 Gigazine)。

公開価格は$99(約10,000円)とされています(2020年4月4日現在)。詳細はこちらから確認できます。

まとめ

この記事ではホワイトノイズとは何か、について解説し、集中力や認知に与えるポジティブな影響、実際にホワイトノイズを使用する方法を紹介しました。

この記事でも紹介したようにホワイトノイズは多くの素材が無料でも入手可能です。勉強や仕事に集中するときにはホワイトノイズを流して作業してみてもいいかもしれません。

一点注意点として、ホワイトノイズは弊害も報告されています4)https://jamanetwork.com/journals/jamaotolaryngology/article-abstract/2697852。真偽については不明ですが、長時間聴き続けることの危険性も同時に理解しておいたほうがいいでしょう。

References

References
1 Göran BW Söderlund, Sverker Sikström, Jan M Loftesnes3, Edmund J Sonuga-Barke “The effects of background white noise on memory performance in inattentive school children” Article in Behavioral and Brain Functions September 2010
2 大林和香那,中田大貴 「Go/No-go課題中の事象関連電位におけるホワイトノイズの効果」 03心−09−ポ−67(36) JSTAGEより引用
3 藤智亮, 勝田啓亮, 坂田智海, 立石憲治 「音刺激が新生児に及ぼす鎮静効果」 日本生理人類学会誌 VoL18, No.4 2013,11 181−186
4 https://jamanetwork.com/journals/jamaotolaryngology/article-abstract/2697852

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