【集中力と音楽の関係】音のポジティブな効果・ネガティブな効果

【集中力と音楽の関係】音のポジティブな効果・ネガティブな効果

集中力を高めるには環境づくりも欠かせません。

ちなみに、集中力を高める香りについては以下の記事で解説しました。

香りだけでなく音も当然重要です。

うるさい環境では集中できないですし、逆に静か過ぎても集中できないことがありますよね。

この記事ではそんな集中力の関係について、集中力と音楽に関する論文を参照したりしながら解説していきます。

音楽や音の効果

まず、音楽や音を聞くことについては多くの効果が報告されています。

音楽療法といった言葉を聞いたことがある人もいるかもしれませんが、音楽は運動やADL(日常生活動作)の向上に効果があることが報告されています1)柿﨑次子 発達障害のある子どものADL向上を目指した音楽療法 大和大学研究紀要第4巻保健医療学部編 2018年3月 pp.1~6

また、音楽は自律神経にもポジティブな影響(副交感神経に働きリラックス効果)をもたらすことが言われています2)古田紡 音による自律神経活動と疾痛閾値の変化 松本歯学43・15~24,2017

音と集中力の関係

ここまではポジティブな効果について見てきましたが、作業への集中に関しても効果があると言えるのでしょうか?

ここでは作業時の音楽の大きく二つに分けて見ていきたいと思います。

作業時の音

うるさいと集中力は低下する

作業時の音についてはある程度静かな方が集中力が保てそうな印象はあると思います。

これについてはある程度事実があり、例えば自動車運転において無音下、ホワイトノイズ(後述)音響下、自動車運転音響(実際に運転している時に近いノイズ)下の3つの異なる環境下で注意力の実験を行った研究があります。この研究では最後の運転に近い音環境の方が注意力の低下が起こりやすいことが報告されています3)佐藤大樹, 﨑村陽子, 泉良太 聴覚ノイズの有無が注意機能に及ぼす影響 第10回新潟医療福祉学会学術集会 p17

作業時に聞くと効果的?ホワイトノイズの効果

また、作業時の音についてはよくホワイトノイズを聞くことが有効であると言われます。

実際、マウスの実験などでは無音下では学習できないため、ホワイトノイズを流すことで学習効果を高めるといったことが行われているようです4)https://r25.jp/article/564374415183230643

ホワイトノイズについては以下の記事で詳しく解説しています。

作業時の音楽

作業時の音楽は気分を高めることから多くの人が作業時にBGMなどを取り入れているかと思います。

作業時の音楽は実行機能にプラス

気分の高揚がパフォーマンスにプラスの影響をもたらすことは科学的にも効果が報告されています。音楽はポジティブな気分を誘発し、前頭前野背外側部(DLPFC)の活動を増加させます。DLPFCは実行機能(注意、集中力、選択・判断能力など)の機能の向上の神経基盤として重要とされており、音楽が間接的に集中力にプラスの影響を与えることがわかります5)諏訪部和也, 福家健宗, 征矢英昭 音楽に合わせた運動で高める前頭前野の実行機能 シンポジウム18:運動に豊かさを与える音・リズム・音楽-神経科学からのアプローチ-

作業時の音楽の中に含まれる歌詞はマイナスの影響も

歌詞の入った音楽を聴くと、文字情報がノイズになり作業に影響を与えることは比較的知られています。

日本語の歌詞を含む音楽, 歌詞を除いた同じ音楽、無音の環境下での文字入力作業を行った研究では、歌詞を含む音楽下で誤答が増える結果が報告されています。

歌詞のついた曲を聴くことが多い人は注意が必要です。

音の影響には個人差がある?環境音に適応しやすい人、影響されやすい人

ここまでは一般的な音の効果について説明してきましたが、こうした効果については個人差が存在することも報告されています6)峰吉晃宏 聴覚刺激が作業効率に与える影響 Journal of Osaka Kawasaki Rehabilltation University Viol.9No22014 PP.163-168

研究では作業の正確性が求められる作業では無音環境の方が好ましいとしながらも、音刺激の違いに対してパフォーマンスに影響があまり見られない人も多くいたことが指摘されています。

実際、実験の形で正確性などを基準に効果を測定すると音楽やノイズがない方が集中力は高まるとしている文献の方が多く見受けられました。

一方で、音楽を聴くために作業を始めるといったポジティブな動機付けに利用する人もいることから、音楽を聴くと聴かない場合に比べて作業効率が落ちるとは一概には言いがたいかもしれません。

まとめ

この記事では、音や音楽がもたらすポジティブな効果や実際の論文を元にその効果の具体例を紹介しました。また作業時の音環境については、個人差があるといったことも確認できました。

個々人でこの状態が集中できるという音環境は経験則的に持っている人が多いと思います。

それ自体は否定しませんが、いつもの音環境がはたして本当に自分にとって良いのかを実際に数値をとって検証してみるとより良い作業環境が見つかるかもしれません。ぜひ自分にあった音環境を探してみてください。

References

References
1 柿﨑次子 発達障害のある子どものADL向上を目指した音楽療法 大和大学研究紀要第4巻保健医療学部編 2018年3月 pp.1~6
2 古田紡 音による自律神経活動と疾痛閾値の変化 松本歯学43・15~24,2017
3 佐藤大樹, 﨑村陽子, 泉良太 聴覚ノイズの有無が注意機能に及ぼす影響 第10回新潟医療福祉学会学術集会 p17
4 https://r25.jp/article/564374415183230643
5 諏訪部和也, 福家健宗, 征矢英昭 音楽に合わせた運動で高める前頭前野の実行機能 シンポジウム18:運動に豊かさを与える音・リズム・音楽-神経科学からのアプローチ-
6 峰吉晃宏 聴覚刺激が作業効率に与える影響 Journal of Osaka Kawasaki Rehabilltation University Viol.9No22014 PP.163-168

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